] 中国西南/南部旅行コラム(楽山大仏編)|西安中XIN信国際旅行社

成都に楽山大仏を見に行く(2017/12/30-2018/1/1)


楽山大仏の横顔 奥に小さく写る人の大きさからこの大仏の巨大さが分かる

 わたしは大きな大仏や建築物を見るのが好きである。中国は国土が広いため道路や街の建物の作りも日本に比べると大きくできている。 ちょっとしたオフィスビルでも日本の大企業の本社ビルのような威容のある佇まいをしていて、そんなのが街のあちこちに、 それこそ「佃煮にする」ほどボンボンと建っている。住居もしかり。中国の都市部は一軒家はほとんどなく、集合住宅が主である。 日本のタワーマンションのような高層マンションが、団地のごとく乱立しているさまは、中国に来たばかりのころ、ずいぶんと壮観に映ったものだ。 (今ではだいぶ慣れて、こんなに大きなマンションをいくつも建てて採算が取れるのかしらと心配するほうが先に立っている)

四川省成都市近郊にある「楽山大仏」はその大きさで有名だ。

【楽山大仏は、泯江を望む岸壁に彫られた世界最大の磨崖仏。正式には「凌雲大仏」といい、高さ71m、肩幅28m、頭部の高さ14m、頭部の直径10mという巨大な仏像だ。】
引用 - 「地球の歩き方 中国 2016~2017」


西安北駅の構内

 以前からこの楽山大仏を見に行ってみたいと思っていたが、わたしの住む西安から成都へは交通の便が悪く、 長らく行けずじまいとなっていたところ、このほど西安と成都を結ぶ高速鉄道が開通し、西安から成都まで4時間前後で移動できるようになった。 三国時代、峻険たる巴蜀の地を起死回生の場所として定めた諸葛亮が聞いたらきっと腰を抜かすことだろう。




2017/12/31

成都の冬は暖かい


担々麺

 昨日夕方の列車で西安から成都へ移動。朝晩の冷え込みが堪える西安住まいの身としては成都の冬は驚くほど暖かい。 東京と比較してもだいぶ暖かいだろう。外を歩くのに本格的なダウン・ジャケットやコートは必要ない。
 そのためか少し寝坊をして宿を出て、バスターミナルに向かう。10時10分発の楽山大仏行きのチケットを購入。 まだ時間があるため近くの食堂で腹ごしらえをする。メニューはふかした肉まんやおかゆ、揚げパンから四川名物の担々麺など様々。 わたしは担々麺をチョイス。麺の量を「兩(リャン、50グラム)」ごとに選ぶ。わたしは2兩で注文。 けっこう食べでがある。麺は細くコシのあるもので、茹でたキャベツや炒めたひき肉が乗っている。 スープは少しだけ山椒の風味と下のしびれるような刺激があり、色はラー油で赤くなっているがピリ辛という感じで激辛というほどではない。 よく味が出ていて美味しい。しかし本場の担々麺はスープなしのまぜ麺だと思っていたのだが、違ったかな?

楽山市はけっこう都会


豊かな流れをたたえる岷江

   ほぼ定刻にバスは発車。成都の街は西安に比べて道が広く、整然としているように感じる。建物も近代的なデザインをした建物が多い。 成都は西安よりも経済規模で上をゆく。やがては西安にもこうした建物が増えてくるのだろうか。
 20分ほどして高速に入り、ところどころ渋滞に遭遇しながら正午すぎに楽山市に入る。 わたしは楽山の街は世界遺産の楽山大仏でもっている観光だけの街であると侮っていたが、なかなかどうしてその発展ぶりには目を見張るものがあった。 デザインの洒落たマンションや多くの人で賑わう繁華街など、観光客の数で経済が一喜一憂するような街ではないようだ。 それもそのはず、楽山には岷江という大河が流れ、古来水運業の街として栄えてきたのだ。
 バスは楽山大仏入口近くから少し離れた「東方佛都」と呼ばれる遺跡の近くで停車。 この遺跡も楽山大仏の関連遺跡のひとつで、内部で楽山大仏にもつながっているのだが、入場券が別で滞在時間も限られているのでこちらの見学は見送ることにした。 入口の前で客引きのおばさんが「楽山大仏にも行けるよ!チケット売り場はこっち!」と威勢よくやっているが、決して鵜呑みにしてはいけない。

楽山大仏はすごい行列


西坝豆腐

凌雲寺の仏像

 楽山大仏周辺は飲食店や土産物屋で賑わっている。この辺りは岷江で捕れる川魚やザリガニなどが名物のようだ。 試してみたいがひとりでは量が多く値が張るので、ぐっと我慢し、「西坝豆腐(シーバドウフ)」を食べることにした。 一見麻婆豆腐に似ているが、トマトベースのタレで豆腐を豚肉や青菜、きくらげなどの野菜と炒めたものだ。タレが香ばしく、ご飯が進んで美味しい。
 腹ごしらえを済ませ、早速楽山大仏に入場。楽山大仏の敷地内には凌雲寺、烏龍寺などの寺院や、麻浩崖墓と呼ばれる後漢時代の陵墓群がある。 また、楽山は政治家、文筆家として著名な郭沫若の出身地であり、彼を紹介する展示ブースがある。麻浩崖墓の門には彼の書いた額が掲げられている。
 凌雲寺を抜けると楽山大仏の頭がぬっと現れる。さすがにでかい!昔の東宝や大映の特撮映画のようだ! 柔和な表情をしているが、いまに立ち上がって私腹を肥やす悪人たち(誰とは言わない)をこらしめてくれそうな威容も持ち合わせている。
 しかしさらに驚いたのは崖下に移動して大仏を眺めるための行列がたいへんなものであることだ。 確かにガイドブックには長蛇の列とあったが、まさかこれほどとは。四川省中の人たちがここに集まっているのではないか。 この行列に辟易してわたしは楽山大仏をあとにすることにした。
 諦めて帰る?否。楽山大仏を見る方法はもうひとつあり、船に乗って河川上から大仏を眺めることができるのだ。

モーターボートから楽山大仏を望む


舟上から楽山大仏の全貌を望む

 楽山大仏の東の入口からさらに500メートルほど市街寄りに遊覧船と快?(モーターボート)乗り場がある。 どちらも同じ料金で、大仏の間近まで連れて行ってくれる。わたしはモーターボートに乗ることにした。 こちらはそんなに待つこともなくすぐにボートに誘導される。救命胴衣を着て、ヤマハのモーターを積んだボートが出発。
 ボートは次第にスピードを速めて大きな水しぶきを上げながら進んでいく。 天気もよく風が心地よい。すれ違う遊覧船の客に意味もなく手を振り、手を振り返されるのを確認してひとり自己満足にひたる。 やがて楽山大仏がその全貌を現した。岷江の氾濫を静める願いから唐代に建設され、 以来補修が繰り返されながらも1300年もの間この大河を眺め続けてきた楽山大仏は、威圧や威容というよりも、やはり優しさ、 慈悲、温かみといったほうがふさわしいように感じた。

成都市街で麻婆豆腐を食べる


山椒たっぷりの麻婆豆腐

 夜7時過ぎに成都市街に到着。ガイドブックに掲載されている麻婆豆腐の名店「陳麻婆豆腐」は店の外に行列ができていたので諦め、 近くのありふれた食堂で麻婆豆腐とご飯を注文した。 麻婆豆腐はさすが四川の味、山椒がたっぷりと効いていて下のしびれる感覚がたまらない。これぞ本場の「麻辣(マーラー)」だ!




成都には日本のコンビニがたくさん

 腹ごなしに夜の散歩を。そういえば今日は大晦日であった。 こちらの人は旧正月を祝うので、元日は祝日ではあるものの、他の祝日とそんなに過ごし方は違わない。 とは言っても今年1年の反省や来年の抱負を語り合ったり、日付けの変わる頃には人々が集まって花火があがるのを見たりしてお祝いをするといったことはあるようだ。
 成都の女性は西安の女性よりも化粧の仕方が上手で垢抜けた感じの人が多いかな?などと思いながら、飲み物を買おうとコンビニに入るとびっくりした。 ここはセブンイレブンだ!お店の内装や品揃えは日本のセブンイレブンそっくりで、おむすびやサンドイッチも売られていた。 さらに歩いていたらファミリーマートも見つけた。喫茶スペースも備えた本格的なつくりをしている。 西安には日本のコンビニなどないから、これはカルチャーショックだった。まあ、日本のコンビニがあるから優れているとか、そういうわけではないのだけれど。

2018/1/1

朝9時の列車で西安へ


鶏のホルモン入り・鶏雑麺

成都東駅の構内

 朝7時過ぎに宿を出て、朝食に「鶏雑麺」を食べる。鶏のホルモンが入った麺だ。まだ夜が明けず肌寒い身体に熱いスープが染み渡る。 昨晩は繁華街に行って年越しの様子など見物することもなく宿に戻り23時ころ就寝した。疲れていたので無理は禁物なのである。
 成都東駅は鉄道の駅というよりも空港ターミナルといったほうがしっくりくる。 大きく余裕をもって設計された建物、高い天井、豊富で清潔感のある飲食エリア(値段もそれなり)、 しかも飛行機に乗る時のような煩雑な手続きを経ずとも遠く離れた都市への移動が可能なのだ。 この広い国土を持った国では、この効果はやはり絶大だろう。西安と成都が高速鉄道で接続されるまでは、一般の鉄道では15時間かかっていたのだ。 それがいまや4時間前後で到着してしまうのである。
 帰りの列車は途中「広元」の駅に停車したのみ、3時間半で西安に到着した。 やはり西安は寒い。空気も何だか白っぽい。それでもホームタウンに戻ってきたという感覚を、昼食に焼きそばを食べながら覚えたのであった。(終わり)

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